腰壁?袖壁を有するRC造骨組構造の耐震診断結果の検証(その1)袖壁付柱のせh断終局強度に関する既存式の検証

摘要

1968年十勝沖地震において雑壁の被害が確認されて以来，雑壁が構造物に与える影響に対する関心が高まっている。袖壁付柱に関しては，既往の実験や地震被害調査などにより，柱の剛性?耐力を上昇させて変形を抑える有効な耐震部材として実証されている。しかし，袖壁付柱の強度および変形性能を定量的に評価可能な手法は未だ確立されておらず，初期弾性から破壊に至るまでの非弾性挙動の把握は十分ではない。耐震診断1)においては，せh断終局強度算定方法として図－1に示す手法が採用されている。本手法では，袖壁付柱を4ケースでモデル化し，各ケースのせh断耐力のうち最大値を袖壁付柱のせh断耐力として採用するが，信頼性のある評価法とは言い難い。特に，片側袖壁付柱のせh断終局強度を算出する際にも本手法を準用しているが，袖壁の抵抗機構など十分に検討されていないのが現状である。一方，構造物中にある袖壁付柱のせh断終局強度を算出する場合，周辺部材の影響を考慮して反曲点高さを評価することが重要である。しかし，現行の耐震診断基準における算出法の信頼性について検討した事例は極めて少ない。