現代建築における空間の可視領域特性の解読:建築?都市空間の可視領域特性と人間行動に関する研究（その２）

摘要

本稿では（その１）で述べた可視領域分析の手法を用いて５つの現代建築作品を対象に、建築?都市空間の可視領域特性を分析する。近年日本の前衛的な建築家の建築を設計する際の言説においてよく、“身体性”や“感覚”といった言葉を目にするが、現代の建築においては身体やスケール、知覚の問題は語る上では欠かせないキーワードであり、“人と空間との関係性”という視点が徐々に重要性を増してきている。このように知覚に特化した空間をもつ近年の建築の中から「 T house」(設計：藤本壮介)、「有元歯科医院」（設計：妹島和世）、「森山邸」（設計：西沢立衛）、「情緒障害児短期治療施設」（設計：藤本壮介）、「 KAIT工房」（設計：石上純也）を分析対象として選定し、各建築空間において可視領域分析を行いその特性を解読する。