操作者の視線提示による人間型ロボットを介しての遠隔コミュニケーションの促進(第2報)—観察者に対する視線提示の効果

摘要

近年，情報インフラの急速な普及により，操作者が遠隔地の相手と人間型ロボットを介してコミュニケーションを実現する，遠隔コミュニケーションの研究が盛hに行われている．人間同士が円滑なコミュニケーションを行う場合は，身振り·手振り·視線等の非言語情報の印象が全体の55%を占めている．そのため，ロボットを介した非言語情報によるコミュニケーションの研究でも，コミュニケーション手段は身振り·手振りが重視されている．しかし，人と人とのコミュニケーションでは視線が特に重要である．認知科学的見地によると視線には，視線方向から相手の注意を特定する「意図の伝達」，視線で人の情動·気分を表現し印象を意識的に制御する「感性的情報の伝達」(特に，印象の強調)，視線により発話権の維持と交替のタイミングを制御する「コミュニケーションの調節」(特に，発話権開始のタイミング) といった3 つの機能的役割がある．これより，人間が相手の目を見て話すことは，円滑なコミュニケーションをするうえで必須手段であるとわかる．しかし，従来の研究では，視線をコミュニケーション手段として扱っていない．