骨強度解析ソフトウェアの医療への応用（1）: 有限要素解析による骨強度測定法の確立とその応用

摘要

臨床上，骨の強さを判断する基準として，骨密度が測定される.骨密度測定法としてはX線骨密度測定法 Dual-energy X-ray absorptiometry (以下DEXA)法や超音波骨密度測定法がある.DEXA法は異なる2つのエネルギーレベルのX線を照射して，軟部組織によって，骨のエネルギー吸収量を計測する骨密度測定法であり，測定単位はg/cm~2である.超音波骨密度測定法は計測された踵の幅と透過する時間から踵骨内の超音波伝播速度（m/sec)を計算して求める.しかし，いずれも実際の骨密度を厳密に測定出来ているわけではなく，若年の、平均値を元に患者の骨密度の程度を予測するにすぎない.さらに骨密度は必ずしも骨強度を反映しているわけではない.2000年にァメリカ国立衛生研究所（National Institutes of Health (NIH))のコンセンサスとして，"骨強度"は"骨量"と"骨質，'からなると定義された.この内，骨量が骨密度のことで骨強度のおよそ70%を占めると考えられている.一方で，残りの30%が骨質で骨質には微細構造，骨代謝回転等，微細骨折，コラーゲン等，さまざまな要素が含まれる（図1）.この内，骨密度や微細構造，微細骨折等を含めた"骨強度"を患者特異的有限要素モデルを作成することによつて予測する試みが行われ，大腿骨頸部や腰椎で先進医療として臨床応されている.今问は骨強度測定法を確立に要した妥当性検K試験とそれを用いた応用例を解説する.