ブラスト処理による溶接止端部の疲労強度向上効果の検証

摘要

国際船級連合（IACS）は，船長90m以上のばら積貨物船のための共通構造規則（CSR-BC）及び船長150m以上の二重船殻油タンカーのための共通構造規則（CSR-OT）を調和させた，ばら積貨物船及び油タンカーのための共通構造規則（CSR BC & OT）を2013年12月に採択した．CSR BC & OTは，IACSに加盟するすべての船級協会が統一的に運用し，2015年7月1日以降に建造契約が行われる船長90m以上のばら積貨物船及び船長150m以上の二重船殻油タンカーに対して適用される．CSR適用前は，ばら積貨物及びタンカーに関する船体構造の船級規則は各船級協会が独自に決めていたが，CSRにより統一化され，船級間での船体構造に関する規則の差は無くなった．CSRでは，海象環境が北大西洋，設計寿命が25年と設定されている．設計条件が厳しくなったこともあり，CSR以前の規則に比べて大幅に構造強度を確保する必要が生じている．特にCSR BC&OTでは，極詳細メッシュのモデルによる有限要素解析に基づく疲労解析を多くの部材や継手に対して実施する必要があり，この結果次第では，これまでに損傷実績の無い部位でも，大幅な補強が必要となる．すなわち，CSRを満たした結果，構造強度の観点では過剰品質の船体が建造されることが懸念される．