てんかん患者の前部帯状回を中心としたネットワーク解析

摘要

てんかんとは脳内の神経細胞の異常興奮による慢性脳疾患であり、投薬治療に抵抗を示すてんかんを難治性てんかんと呼ぶ。難治性てんかんの外科的治療には幾つか方法があり、その1 つに脳梁離断術がある[1]。脳梁離断手術直後から数週間の間に、意識があるようにみえるものの、精神活動が欠如し発話することができず、様々な環境刺激からの応答がない無言無動症などの急性離断症候群を呈することがある。比較的頻度の高い症候群であることはよく知られたことであるが、脳梁離断前後の脳機能変化に関する知見はほとんどない[2]。そこで筆者らは、脳梁離断手術を受けた5 名の全般性てんかん患者の手術前後のfMRI データを用い、精神活動や意識に関係し、運動野や体性感覚野に結合を持つ前部帯状回を関心領域に設定し、ROI-based functionnal connectivityanalyses を行なった。その結果、急性離断症候群の発症有りのてんかん患者と発症無しのてんかん患者の前部帯状回と運動野及び体性感覚野との結合動態には大きな違いがあることを見出した。