視覚障碍者のための単独歩行支援システム ―横断歩道検出―

摘要

人は多くの情報を視覚から取得し，多くの判断や行動を決定している．しかしながら，視覚障害者は判断や行動が制限されてしまう．特に屋外の歩行においては視覚情報を用いる必要性が高く，周囲情報の取得，定位・移動といった多くの困難に遭遇している．こういった困難に対し，近年，視覚障碍者の利用も増えつつあるスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を用いた歩行ナビゲーションシステムが開発されている[1]が，これらは音声ナビゲーションの情報量不足が問題としてあげられる．目が見えない視覚障碍者にとっては，システムを利用し他者からの支援を減らすことで，自立的な歩行を行えることは望ましい．そこで本研究では，モバイル端末を用いて，視覚情報の補助を行うことで視覚障害者の単独歩行の支援を行うシステムを作成することを目的とする．本稿では，システムの一部として，特に視覚障害者が通行時に大きな不安を伴うとされる交差点における横断検出について検討する．