局所特徴量を利用した静止画像向け電子透かしの埋め込み法

摘要

本研究では静止画像に対する攻撃への耐性の向上を目的とした電子透かしを検討した. 電子透かしに対する画像処理攻撃は, 幾何学的攻撃と非幾何学的攻撃の二つに大別される. 幾何学的攻撃は, 回転やスケール変化など, 画素の位置関係が変化する改変であり, 非幾何学的攻撃は, JPEG圧縮などの画素の位置関係が変わらない改変が該当する. 非幾何学的攻撃に対しては耐性の高い電子透かしが提案されてきているが, 幾何学的改変に対しては課題が多い. 幾何学的改変に有効な手法に, 画像認識の分野で用いられている局所特徴量を利用する研究がある[1].局所特徴量はある画像の画素の周囲の画素情報から, 回転やスケール変化, 照度変化に対して不変となるように画像上の点に対して定義される. これを透かしの埋め込みに利用することで埋め込み位置特定のために元画像の情報を付加する必要がなくなる.本研究では, 利用する局所特徴量に画像処理に対する耐性を考慮して優先順位を付け, 耐性の高い局所特徴量を優先的に利用することで, 元画像情報を用いずに画像処理に対して高い耐性を持つ電子透かしを提案した.