粘弾性計測用センサシステムの開発に関する研究

摘要

ヒトは様々な触動作を行い物体の形状や質感などの様々な特性を触覚によって得ている.触覚は医療の触診にも活用されており，医師は触診により患部の硬さなどの診断に必要な情報を得ている.触覚で得られる情報は主観的であり，医師の技量や経験により診断結果が左右される問題点がある.そのため，客観的に硬さを定量化する様々なセンサシステムが研究されている.例えば，球圧子の押込み試験によりポリウレタン樹脂のヤング率を計測する手法[1]や，硬さの異なる2つのセンサ受感部に加わる力の比からヤング率を計測する手法[2]が開発されている.一方で，触診では皮膚の圧迫痕を診断指標とする場合もあり[3]，弾性特性だけでなく，皮膚の粘性特性の定量化が必要である.また，触診は様々な部位に対して行う診断手法であることから，スライダ等の大型の機器を用いないハンデイタイプのセンサシステムの開発が求められている.