実験動物用活動量計に対するヮイヤレス電力伝送のための送電コィルの検討

摘要

近年，神経生理学や行動心理学の分野における動物実験のひとつとして，実験用小動物の活動量計測が行われている.マウスをはじめとする集団行動をする小動物を用いる場合，複数飼育によりストレスを与えない条件下において個別の活動量を測定する必要がある.従来の活動量計測方法には，カメラゃ目視によるもの，回し車の回転数によるものなどがあるものの，長時間計測や個体識別などの観点で課題は多い.そこで最近では，活動量計測に加速度センサを内蔵した埋込み型活動量計が用いられている.これには，それぞれの活動量計にIDが割り振られており，集団飼育下であっても，個体識別が可能になる.また3軸カロ速度計により活動量が常に測定され，従来の活動量測定法に比べ正確なデータを取得できる.埋込み型活動量言十の重量は2.5g，寸法が15X14.2X7.1mmである.一方で，実験用小動物の一種であるマウスは重量が20g，頭月同長（尻尾を除いた長さ）は7cm程度である.このため，埋込み型活動量計はマウスの重量の10%を超えることがあり，大きな負荷となる可能性がある.この中で内蔵バッテリーは1.2gと，埋込み型活動量計の重量の50%程度を占めている.また，埋込み型活動量計の寸法•形状は内蔵バッテリーにより決定されている.したがって，バッテリーレス化を実現できれば，小型•軽量化を実現でき，実験用小動物の活動に活動量計が及ぼす影響を大幅に低減できると期待できる.