力学荷重に応じた骨代謝にともなう骨量と骨質のin silico 評価

摘要

骨は，破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成を繰り返し，周囲の力学環境に適応することにより，荷重支持などの機能を維持している(1)．この骨代謝は，骨細胞による力学刺激の感知とシグナル分子の伝達により制御されている．骨代謝に異常が生じると，骨粗鬆症などの骨疾患が引き起こされる．そのため，力学的因子，および，生化学的因子による骨代謝制御機構を理解することは，骨疾患治療において非常に重要である．特に，無重力状態や寝たきり状態に代表される，低荷重状態に起因する骨疾患は深刻であり，生化学因子による骨疾患と比べて，より重篤な症状を引き起こす(2)．そこで本研究では，力学－生化学連成の過程を組み込んだ骨代謝シミュレータを用いて，力学荷重の大きさの違いが骨量と骨質に及ぼす影響を評価する．