ハイパーボリュームベースの進化計算による翼胴一体フライバックブースタ形状設計

摘要

宇宙開発を進める上で，既存の使い捨て型のシステムに変わり，打ち上げコスト削減の観点から再使用宇宙輸送機(Reusable Launch Vehicle; RLV) の開発は重要な課題である．RLV の形態には様々なものがあり，単段式RLV(Single-Stage-To-Orbit; SSTO) や2 段式RLV (Two-Stage-To-Orbit; TSTO) の研究が，宇宙開発初期の頃から行われてきた．SSTO は，今から20 年ほど前に，アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration;NASA) によって研究開発が行われていたが，現在では，技術的困難により計画自体が凍結されている．一方，TSTO はRLV の形態として有望視されており，九州工業大学では相似形の機体を向かい合わせに連結させることでTSTO を模擬し，数値解析による機体形状と飛行経路の同時最適化を行っている(1)．この機体はWIRES (WingedReusable Sounding rocket) と呼ばれる有翼式のRLV である．有翼式のRLV の特徴として以下の点が挙げられる．