弾性ひずみエネルギー依存性を考慮した膨潤エラストマーの線形弾性特性解析

摘要

ハイドロゲルを代表する高分子ゲルは膨潤エラストマーとみなすことができ，解析には膨潤エラストマーの力学特性を表す自由エネルギー関数であるFlory-Rehner(FR)モデル(1)を利用することができる．この自由エネルギー関数は，統計分子鎖理論に基づくNeo-Hookean 型の弾性ひずみエネルギーとFlory-Huggins 理論に基づく混合エネルギーの線形和として構成される．したがって，応力と化学ポテンシャルの相互作用が規定され，高分子ゲルの変形挙動と溶媒の吸収や排出といった膨潤挙動を連成して解析することができる．しかし，FR モデルは基礎的モデルであるから，膨潤状態に依存した力学特性の変化を必ずしもうまく再現できるわけではない．そこで再現性をより高めるため，弾性ひずみエネルギーとして，Arruda-Boyce モデルやGent モデル，スケーリング指数で拡張されたモデルの利用も提案されており，予測される挙動の特徴が議論されている．