杭州市の都市変容と住環境改善段階に関する研究（1）: 望江地区の城中村における居住空間構成の実態

摘要

中国では1978 年の改革開放以降、経済成長に伴う都市の急激な拡大の中で「城中村」という場所ができた。この「城中村」は都市の拡大により農村が収用される中で、農村部分が開発から取り残された地域である。「伝統的な農村の居住形態とも現代都市の居住形態とも異なる居住形態が現れている」注１）といわれている。中国では都市部の土地は国有地であるー方、農村の土地は集団所有であるため、政府主導の開発は困難であり、この背景から独自の発展を見せてきた。城中村内では現在でも農業がー部行われているが、かつての村民達のほとんどは店舗、賃貸住宅などを低賃料で貸し出す不動産経営を行っており、インフラの整備が行われないまま無秩序な居住環境が拡がっている。これらの居住環境は都市住民や出稼ぎ農民の受け皿となっており、自主的な居住環境の改善が困難な状況にある。よって、こういった機能に配慮しながらも、劣悪な居住環境の改善手法と改善の促進主体を考える必要がある。