中国・徽州地方の村落と宗祠『潭渡黄氏族譜』からの考察

摘要

徽州地方は、中国の揚子江下流域の安徽省南部にあり、浙江省を流れる新安江の上流域に位置する。唐代中期以降、中原地方の戦乱を避け、或は官となって派遣されてきた人々が黄山の南麓に移住し、先進的な文化や技術を転播させた。それらの人々が代々集住すると、「宗族」と呼ばれる同族集団を発生・発展させ、それとともに宗族共同体としての「村落」を形成した。こうした宗族村落では民居、書院、店舗などのほか、宗族の祖先を祀る「宗祠」を数多く建設した。