歩行振動からみたCLT 造建築物床のスパン表の例示

摘要

前報1)では、CLT(直交集成板)を用いた実在建築物床を対象に、床上の人間の歩行により発生する鉛直方向の振動(以降“歩行振動”と記す)について詳細な検討を行った。具体的には、スパン4550mmのCLT床を対象に、固有振動数，振動モード，減衰定数および静的荷重載荷時の変形量などの基礎的振動特性を測定したうえで、所定の歩行者を用いて歩行振動を測定した。また、検査員を用いて官能検査を実施して当該歩行振動に対する感覚，評価を定量化した。続いて、官能検査結果と歩行振動の測定結果の関係から、既往の研究2)で提示された木造大スパンの床の歩行振動の性能値(振動感覚，評価と対応する物理的指標)VLT がCLT床にも適用できることを明らかにした。さらに、当該床の解析モデルを作成し、有限要素法を用いて基礎的振動特性およびVLT を算出した結果、測定結果を実用上十分な精度で再現できることを確認した。なお、その後いくつかの試験体床を対象に同様の検討を行った結果からも、上記解析モデルの適用性を確認している。本報は、以上の知見に基づいた解析的検討により、歩行振動からみたCLT床のスパン表を例示した経過，結果を述べるものである。