建築技術書に見る輪蔵の設計技術について　　:その１

摘要

以上の考察結果をまとめると、結論は次のようになる。1）建築技術書に掲載されている輪蔵は、台座と庇の有無により、3 種類に分けられる。2）用語によると、輪蔵の書架部分が構造的な中核と認められる。輪蔵部材自体が和禅混用と見られ、規定においては様式を表す言葉がある。3）輪蔵の規定項目は規模、部材及び蔵書部材に分けられ、寸法規定が高さのみに限り、立面効果を強調することと見られている。4）各建築技術書において、柱間や柱太さを基準とする木割組成は共通している。小建築である輪蔵は実体建築と共通的な寸法計画が用いられているといえる。　建築技術書に見られる輪蔵各部のプロポーション、または技術書規定と遺構の関係について、今後の課題にする。