薄板鋼板を用いたH 型鋼梁の横補剛

摘要

吹き抜けやエレベーターシャフトに隣接する梁など，小梁や方杖による横補剛が不可能な梁にラーメン骨組としての性能を期待する場合，部分的にカバープレートを溶接するなど閉断面を付加して横座屈耐力を高める方法が一般的に用いられている．ここでは薄板鋼板を用いたH 形鋼梁の補強方法として，薄板を乾式工法によってH 形鋼梁に取り付ける簡便な横補剛方法について報告する．2.　薄板鋼板を用いたH 型鋼梁の横補剛の実験概要2.1 試験体計画　試験体断面図を図1 に，試験体全体図を図2 に示す．H形鋼断面はH-200×100×5.5×8 であり，鋼種はSS400 とした．試験体長さは1,950mm，無補剛の試験体の横座屈細長比はlb =0.67 である．補剛材は板厚1.6mmの鋼材（以下，薄板）と板厚6mm の鋼材（以下，厚板）の2 種類を用意した．図１(a) は薄板のハット型断面材をウェブにボルト接合し，閉断面を付加したものである．ボルトには摩擦接合用高力六角ボルトM12 を用いた．補剛位置は施工性を考慮して３分割した断面を部分的に取り付けたもの（図2(a)），および1,200mm の区間を連続で補剛したもの（図2(b)）の２種類を用意した．図１(b) は閉断面部分の形状を最大にするため，ウェブ全体を覆うように薄板を取り付けるようなC 型断面の薄板を図1(a) 同様ボルト接合したものである．薄板には高力ボルト施工用の貫通孔がある．図1(a) と同様，材長方向の補剛は図2(c)(d) のような2 種類を用意した．