二相ステンレス鋼板の高力ボルト摩擦接合部におけるすべり性能に関する実験的研究その1 摩擦面処理とすべり係数に関する検討

摘要

ステンレス鋼は耐食性に優れた鋼であり建築分野では内外装材などに広く使われてきた。現在ではその優れた耐食性を活かした構造材への適用が進められている。ステンレス鋼は構成する金属組織の違いから表1 のように5種類に大別される。建築構造用としては指定建築材料のJISG4321 に規定されるオーステナイト系に限られているが、オーステナイトとフェライトの混合組織から成る二相系は、オーステナイト系に生じ易い応力腐食割れに対する耐久性があり、高強度という特徴を併せ持つことにより、構造材としての利用が期待されている。オーステナイト系と二相系の代表鋼種であるSUS304 とSUS329J4Lの化学成分、機械的性質を表2 と表3 に示す。