領域気象モデルWRF による都市の温熱環境の数値予測(その5)2000 年代から2030 年代に至る仙台の平均的な夏季の体感気候の変化とその要因の分析

摘要

1) 本報(その5)では、2030 年代夏季の平均日を対象に月平均のSET*及びWBGT を評価した。2) SET*、WBGT について構成要素による要因分解を行い、仙台においてはSET*は風速、WBGT は絶対湿度と気温の寄与が大きいことを確認した。日本建築学会の「GCM を活用した近未来標準気象データ作成WG( 主査： 東京大学大岡龍三教授)」では、GCM(Global Climate Model)の1 つのMIROC 文1) の解析結果を領域気象モデルWRF の境界条件とした力学的ダウンスケーリングに基づき、近未来標準気象データの作成の検討を行ってきた文2)。このWG の一環として筆者らは既報文3)において、仙台周辺の近未来のメソ気象解析を行うとともに、建物熱負荷計算のための標準気象データを作成した。本報(その5)および次報(その6)では、この解析結果をもとに標準日や極端気象日の抽出を行い、体感気候に係わる様々なクリマアトラスを作成し、2000 年代から2030 年代の間の変化の傾向を分析した。