『姑蘇繁華図』に見る清代蘇州の建築類型に関する考察

摘要

本論文は『姑蘇繁華図』に描かれている清代蘇州の店屋の類型について、間口が狭く奥行きが深い竹筒状の店屋や間口五間以上の長屋式の店屋など、多数のタイプを確認した。立地形態のパターンから、水辺に建てられた店屋がほぼ半数を占め、水路に対して高い開放性を持ち、水路を積極的に利用するのが多い。また、江南の伝統的な店屋形式である「前店後宅」（16 軒）と「下店上宅」（28 軒）のほか、この2 つの形式の特徴を持つタイプが6 軒ある。当時水路と経済が発達した蘇州に建てた店屋の空間構成と立地は、業種と経営形態と深く関わっていたと考えられる。