山形県におけるモダニズム建築の研究３旧梅月堂の木造部分について

摘要

山形県山形市内に建つ「YT 梅月館（以下、旧梅月堂と記す）」は、1936 年（昭和11 年）に竣工した商業建築である。設計は山口文象（1902-1978）がドイツからの帰国後設立した「山口蚊象建築設計事務所」によるものである。同時期に設計された番町集合住宅i、黒部川第二発電所ii、青雲荘iiiと同様に純粋なモダニズム建築であり、現存する戦前の山口文象のモダニズムの作品は黒部川第二発電所と旧梅月堂の２つのみである。旧梅月堂の南西側には、当初より一体的に計画された木造部分があり、オーナーの住宅として使われていた（写真１）。本稿はこの木造部分について考察である。