心筋細胞の集合体への機械的刺激に対する応答

摘要

近年、心不全治療の臨床研究に向けて、iPS細胞から安定して大量に培養する技術が確立されるなど心筋細胞の再生医療にむけて研究が盛んにおこなわれている。心臓を構成する細胞には主に心筋細胞と線維芽細胞の2種類がある。その比率が心臓の洞房結節、心房、心室な どの場所により異なる。更に個々の細胞自体の物理的特性が異なるという報告もある[1]。そ れらのバランスが乱れることで不整脈の一因となりポンプとしての機能が損なわれる。マク 口な視点では、心臓のポンプ機能は、拍動として検知でき、それは活動電位が心臓内を、異 方性をもって伝わることにより、心臓の収縮、弛緩の動きを安定化する。しかし、ミクロな 視点において、異方性の由来など未解明な点が多い。心筋細胞のパーツとしてイオンチャン ネルが重要な役割を担っており、近年では機械的刺激に応答するチャンネルの存在も確認さ れた。そこで我々は、心筋細胞の集合体に異方性のある刺激を加え、その応答と、機械的刺 激に応答するチャンネルの密度について調べた。