ZnOナノワイヤ表面における分子歪み誘起化学反応を利用した 構造異性ケ卜ン分子識別メカニズムの解明

摘要

近年、血液検査や尿検査など従来の健康診断技術に代わる非侵襲の新しい健康診断技術と して呼気診断に注目が集まっている。病気やストレスなど日常的な健康状態の変化をモニタリングするため には、小型で安価なセンサデノくイスを用いた呼気分析技術の開発が求められる。しかしながら、人間の呼気成分は872種以上の多種多様な揮発性有機分子群(VOCs)から構成されるため、分子官能基を介して 電気シグナルを得る現状のセンシング原理では分子構造や化学的特性が類似する分子群の識別は極め て困難である。そこで我々は、大気安定性及び巨大比表面積を有する酸化物ナノワイヤ表面と各分子との 相互作用の差異を利用して分子をセンサへ異なるタイミングで輸送する分子輸送制御デバイスの創成を目 指している。これまでに我々は酸化亜鉛(ZnO)ナノワイヤ表面上に吸着した構造異性ケトン分子群(2-ノナノ ン,3-ノナノン,4-ノナノン,5-ノナノン)が異なる脱離温度を示し、分子輸送デバイスを用いた識別が原理的に 可能であることを報告してきた。本発表では前回までに提案したノナノン分子の吸着·脱離メカニズムを検証 するため、異なる官能基·分子長を有する分子群の脱離温度·表面吸着状態評価を行ったので報告する。