単一窒化チタンナノ粒子の光散乱特性評価

摘要

近年、金や銀などの貴金属ナノ粒子に加えて、遷移金属窒化物ナノ構造の局在表面プラズモン共鳴（LSPR）が注目されている。特に、窒化チタン（Titanium Nitride:TiN）は、500 nm付近にプラズマ周波数を有し、上記の貴金属と比較して、高い耐熱性・CMOS プロセスとの整合性という利点がある。また、TiNのナノ粒子は可視-近赤外域でLSPRに起因する大きな吸収・高い光熱変換性能を示すことから、太陽光熱変換やホットエレクトロンを用いた光電気化学デバイス、温熱治療など様々な分野への応用が検討されている。TiN ナノ粒子の光学特性はその形成手法や粒子サイズ及び形状に強く依存する。しかしながら、これまでの研究ではナノ粒子の集合体を対象としており、その光学特性はサイズ等の不均一分布を反映しているため、TiNナノ構造のLSPR特性は定性的な理解に留まっている。本研究では、前述の応用に向けて、単一粒子レベルの構造物性評価と光学特性評価を同一の粒子に対して行うことで、TiN ナノ粒子の LSPR 特性を実験・理論の両面から理解することを目的とする。