SiC上グラフェンの糖鎖機能化によるインフルエンザウイルス検出

摘要

グラフェン電界効果トランジスタ(G-FET)は、グラフェンの二次元性、高いキャリア移動度、広い電位窓といった優れた特性から、グラフェン表面に結合した標的の電荷を鋭敏に検出するセンサーとなる。我々は、インフルエンザウイルスを標的とし、ウイルスがヒト感染時に結合するシアロ糖鎖でグラフェン表面を修飾(機能化)することにより、ヒト感染性のウイルスを選択的かつ高感度に検出できることを示してきた。グラフェンの主な製造方法には剥離法や化学気相成長法があるが、これらの方法では、グラフェンへの電極配線やグラフェンの基板への転写などのプロセスに伴い、グラフェンとポリマー材料との接触が避けられない。グラフェン表面のポリマー残渣は表面機能化の妨げとなるが、その完全な除去は容易でない。一方、熱分解法によるSiCグラフェンは、合成時に基板となるSiCをそのままデバイス基板として使用できるため、プロセス由来の汚染を回避し、清浄なグラフェン表面を機能化して、デバイスとすることができる。