分子動力学法を用いたカーボンオニオン粒子の圧縮挙動の解析

摘要

カーボンオニオンはフラーレンの多層球殻構造をしたナノ炭素粒子であり表面がsp2炭素で覆われているため潤滑性が高く，超精密研磨における固形砥粒の利用などに適した材料である．しかしナノ粒子の機械強度は計測法が確立されていない．先行研究[1]ではナノインデンテーション装置を用いた圧縮試験によって機械強度を測定しているが，得られるデータが荷重―変位線図と試験前後のSPM像のみであり，圧縮試験中に起きている挙動を明確に知ることができない．そこで本研究では圧縮試験中でのカーボンオニオンの挙動について，分子動力学法を用いて数値解析し，実験での直接的な観察では得られない圧縮中におけるナノ粒子の変形挙動を解明することを試みた．