経爪型集積化光電式SpO2計測システムの開発: 回路の設計と評価

摘要

末梢動脈血酸素飽和度(oxygen saturation of peripheral artery;SpO_2)は動脈血を流れる赤血球内の全ヘモグロビン(Hb)と酸素化ヘモグロビン(HbO_2)の比を示す値であり、最も重要なバイタルサインの 1 つである。SpO_2は光電式容積脈波記録法(Photoplethysmography; PPG)を利用して、波長の異なる 2 つの光である赤外光(IR)と赤色光(RED)の吸光度比を検出することで計測できる。PPG は周期的に変化する血量により照射光の光吸収が変化することを利用し、血管からの反射光もしくは透過光の時間変化を検出することで脈波を計測する技術である。我々はこれまで経爪型集積化光電式容積脈波計測システムを開発してきた。先行研究では提案したシステムでPPG波形の計測に成功し、測定した PPG 波形を利用してSpO_2を算出することに成功した。本稿では、SpO_2高精度計測用新規回路を搭載した集積化光電式SpO_2計測LSIの設計と評価に関して述べる。