異なる特性のモーターを組み合わせた減速機一体型マルチモーターパワーユニットの開発

摘要

複数個のモーターにより一つの軸を駆動する動力伝達機構をマルチモーター駆動方式と呼ぶ．マルチモーター駆動方式の概念自体は新しくなく，過去にもロボットアームの駆動部に適用することでバックラッシュを減少させる研究や福祉用ロボットのアクチュエーターへの応用を目指した基礎研究，大型射出成型機の電動化，エスカレーター駆動部への応用などが行われている．近年では，サーボプレスなど大出力でありながら高速かつ細かな力制御を必要とする用途にも用いられ始めている．本研究では複数個のモーターからなる動力源をまとめて単一の動力源と考え，マルチモーターパワーユニット（Multi-Motor Power Unit，以下，MMPU）と呼ぶこととする．MMPUの基本的な構造は図1に示すように中央の駆動軸に取り付けた平歯車（以下，中央歯車）の周囲に配置した複数のモーターの出力を平歯車（以下，モーター歯車）により集約する構造とする．MMPUを構成する各モーターに，出力軸からのバックドライバビリティの低い高減速比のギアードモーターを用いる場合，各モーターの回転を完全に同期しなくては回転速度の遅いモーターと速いモーターが競合してしまうが，減速比が極めて低い，あるいは減速機を用いない場合はモーター間の回転速度差の影響は少ない．