ミスチューンを有する翼・ディスク系の振動応答に関する研究（ミスチューン特性に及ぼす翼構造の影響）

摘要

翼・ディスク系の振動解析では，通常，ディスク上の全ての翼の特性は同一（チューン系）と仮定されるが，現実には工作誤差や材料定数のばらつきによって個々の翼の振動特性がわずかに異なっている（ミスチューン系）．このため，作動流体の不均一（偏流）に起因する強制応答においては，翼・ディスク連成固有振動数の分化や振動モードのひずみにより，チューン系に対する共振条件式がもはや成立しなくなり，個々の翼の応答の大きさに差が現れ，特定の翼のみが大きく応答する．また，チューン系よりも広い周波数範囲に渡って翼が応答するようになる ．一方，チューン系の翼・ディスク系では，フラッタ発生時にはディスク上の全ての翼は同一振幅，かつ一定の翼間位相差で振動するのに対し，ミスチューン系の翼・ディスク系では明確な進行波や後退波が形成されないため，作動流体から翼・ディスク系に供給されるエネルギが小さくなり，フラッタが発生しにくくなる．すなわち，ミスチューンの効果は，強制振動に対しては危険側に，フラッタ（自励振動）に対しては安全側に作用することが多くの文献で指摘されている ．Castanier らは，このような翼・ディスク系のミスチューンに関する研究動向を詳細に解説している．