固有振動数成分除去法による天井走行クレーンの制振（二重振子型系への適用）

摘要

天井走行クレーンを用いた搬送では，しばしば動作停止時に吊り荷の正確な位置決めを妨げる残留振動が発生して作業効率が著しく低下する．一般に残留振動は搬送が高速であるほど顕著となり，現在はその防止を熟練者の経験に頼らざるを得ないことから，近年の物流拡大にともない強く望まれている作業の高速化・自動化を妨げる一因となっている．この問題に対しては多くの研究が行われており，クローズドループ制御とオープンループ制御に大別できる．特に，オープンループ制御は計測機器の設置と維持の費用が不要であり，計測機器の呼称による信頼低下も生じないという利点がある．