母語話者シャドーイングに基づく非母語話者音声の了解性計測に関する予備的検討

摘要

外国語学習の主目的は，対象言語を用いた音声コミュニケーションであるが，その言語を日常的に使う機会がなければ，訛りが強く残り，聴取者にとって聞き取り難い発音となる。学習者の発音を矯正する場合，教師はモデル発音との差異に基づいて矯正する。これを技術的に実現する場合も，母語話者発音モデルとの差異を自動検出することが多い。これらは母語話者のような(native-souding) 発音を目標とした指導戦略と言えるが，発音学習の主目的は十分伝わる了解性の高い(intelligible enough) 発音である。この場合，聴取者が持つ「発音逸脱への許容度」が前提となるが，聴取者の許容能力を計測・モデル化することが困難なため，発音了解性に基づく発音指導は，教師の経験と直感に頼らざるを得なかった。