ESR分光を用いた有機トランジスタの両極性電荷状態と分子配向の研究

摘要

有機薄膜トランジスタ（OTFT）は無機トランジスタに比べ低コスト、大面積化、可印刷性、低環境負荷といった特徴を持っている。その中で、ホールおよび電子の両キャリアが単一素子で蓄積・伝導可能なのが両極性OTFTである。有機材料中に蓄積した両極性それぞれの電荷状態や、電荷の蓄積する分子の配向を微視的な観点から明らかにすることは有用である。これまで電子とホールで蓄積する分子の配向が異なることが議論されている。本研究では電荷移動度の高い典型高分子材料の一つであるRR-P3HT（Fig. 1）を用いた非対称電極構造のOTFTを作製し、電子スピン共鳴（ESR）分光を用いて両極性電荷状態と分子配向のミクロ特性評価を行った。