多摩田園都市における高齢者の地域施設利用実態: 鉄道駅を中心とする地域施設整備に関する研究

摘要

本研究は、丘陵地の鉄道沿線に住宅地である多摩田園都市の駅周辺に地域施設が集中している駅とその立地に一定の限界がある駅を最寄駅とする住宅地を対象として、主に商業施設、医療施設、集会施設について住宅から施設への移動手段に着目して考察した。得られた知見をまとめると次のようになる。(1)対象地域では、徒歩•自転車を含む公共交通機関での移動手段の比率は、それぞれ概数で通勤•通学75%、最寄品の買物45%、買回り品の買物40%、医療施設60%、集会施設65%である。商業施設を除いて、住宅と地域施設（通勤•通学を含む）間の移動手段として徒歩•自転車を含む公共交通機関が主なもとなっている。このことは、対象地区が、本研究が参照しているTODモデルの特性を備えている、あるいは、その成立の可能性を持っていることを支持していると考えられる。しかし、対象地区が坂の多い丘陵地であることを要因の一つとして、商業•医療施設は年齢を問わず自動車依存は利用者の約40～60%と大きいのも事実である。従って、交通弱者はもちろんのこと、高齢者が自動車運転困難になったときの対応が課題として指摘できる。%This paper deals with utilization of community facilities, focusing on access to them around the railway stations based on the survey conducted in Tama Garden City in Tokyo and Kanagawa Prefecture. The results are as follows-the ratio of people accessing by public transit including walking and bicycle to commercial facilities is 40-45%, that of medical facilities is 60%, and assembly hall's is 65%: the main access of all generations to commercial and medical ones is by car because of the hill area: these results suggests the possibility and the necessity of community facilities planning such as TOD.