CO_2/O_2/C_5F_(10)OおよびCO_2/C_4F_7N吹付けアークの減衰過程の電磁熱流体過渡解析

摘要

ガス遮断器は，超高電圧系統での大電流遮断に利用されている。大電流遮断の際に，ガス遮断器内の電極を開極すると，電極間に導電性の高いアークプラズマが発生する。ガス遮断器では，SF_6ガスをこのアークプラズマに対して高速で吹き付けることでアークを消弧している。SF_6ガスは，空気の約100倍という極めて高いアーク消弧能力を有している。しかし，SF_6は高い地球温暖化係数(GWP)を持つことから，排出削減対象ガスの1つに指定されている。現在では使用後のSF_6の多くが回収•リサイクルされているが，これらにはコストを要する。以上の事から，SF_6の使用量を抑えることを目的として消弧室のアーク消弧性能向上，またはSF_6の代替ガスの開発に関する研究が盛んに行われている。近年，代替ガスとしてC_5F_(10)O(C5-PFK)およびC_4F_7N(C4-PFN)が注目されている。C_5F_(10)O(C5-PFK)は，標準状態（25℃,1 atm)で液体であり，地球温暖化係数(GWP)は1以下である。ABB社は8-12%のC_5F_(10)O(C5-PFK)にCO_2/O_2を混合したものを利用した遮断器を開発している。また，C_4F_7N(C4-PFN)は，標準状態で気体であり，地球温暖化係数は2100程度である。GE Grid Solutions社が13%程度のC_4F_7N(C4-PFN)にCO_2を混合したものを利用した遮断器を開発している。しかし，CO_2/O_2/C_5F_(10)O(C5-PFK)およびCO_2/C_4F_7N(C4-PFN)吹付けアークの基本的な遮断性能は十分には明らかにされていない。今後の研究開発の進展のためにも，CO_2/O_2/C_5F_(10)O(C5-PFK)吹付けアークおよびCO_2/C_4F_7N(C4-PFN)の消弧現象をより詳細に理解していくことが必要である。