抗HER2薬誘因心不全の後肺?脳転移に対し抗HER2薬を再投与したHER2陽性乳癌局所再発の1例

摘要

49歳,女性.43歳時,他院でHER2陽性左乳癌に対しNAC後Bt + Ax施行,1年後に局所再発をきたし当科紹介受診.Trastuzumab + pertuzumab +アルブミン懸濁型paclitaxel投与開始したが,心不全をきたしたため中止したころ,腫瘍が増大したため切除した.その後肺転移,脳 転移と髄膜播種をきたしたが,全脳照射とtrastuzumab ? deruxtecan (T-Dxd)投与にて両転移巣の縮小,症状もなく良好な経過を得ている.抗HER2療法誘発心不全に対する治療により心機 能が回復すれば,慎重な心機能モニター下で抗HER2薬再投与は可能である.また,脳転移，髄膜播種に対してT-Dxdが有効である可能性が示唆された.