才レキシン受容体選択的拮抗薬スボレキサン卜の 原発性不眠症患者に対する有効性及び安全性

摘要

不眠症は，欧米では人口の約10-30%に発症し， そのうち半数以上が活力低下，記憶障害及び集中 力の欠如などの著しい日中の機能低下を引き起こ している1'2'。本邦でも人口の20-30%力何らかの 不眠を訴えている。不眠症の薬物治療は，主 にァミノ酪酸(GABA) A受容体ァゴニストで あるべンゾジァゼピン（BZD)系不眠症治療薬及 び非BZD系不眠症治療薬が用いられているが，翌 日の鎮静作用の持越し効果，筋弛緩作用，記憶障害，幻覚，反跳性不眠（特に半減期の短い薬剤で みられる），退薬症候，精神的依存等の副作用の発 現が問題となっている。また有効性の側面で は，BZD系及び非BZD系不眠症治療薬のうち，本 邦で主に使用されている超短時間型に分類される 薬剤は，血漿中半減期が短いことから，入眠効果 は得られるものの，睡眠維持効果が不十分である といわれている"。このため，これらの副作用の 発現が少なく ，入眠効果及び睡眠維持効果を有す る新たな作用機序を持つ不眠症治療薬が望まれて いる。