細胞表面抗原を認識する 自己抗体が関連する 傍腫瘍性神経症候群

摘要

細胞膜表面抗原は，電位依存性またはリガンド依存性 のイオンチャネルやその関連分子である。それ故に， 細胞膜表面抗原に対する自己抗体は，単なる疾患マ一 カーではなく，直接，病態に関与する。代表的な抗原として，Voltage gated potassium channel (VGKC)やN-methyl-d-aspartic acid receptor (NMDAR)が知られてい る。細胞内抗原に対する古典的な腫瘍神経抗体陽性例 のほとんどが，悪性腫瘍が合併するのに対して，細胞 膜表面抗原に対する自己抗体陽性例の一部は，腫瘍を 伴わない自己免疫性の病態を呈する。抗VGKC複合体抗 体が関連する疾患は，それぞれの疾患における自己抗 体の真の標的抗原が異なることが明らかになつた。抗 NMDAR脳炎は，若年女性に好発する卵巣奇形腫を伴う 急性辺縁系脳炎として提唱されたが，男性例や奇形種 を伴わない例でも発症する。