制約論理プログラミングによる加熱炉へのスラブ装入本数最大化

摘要

近年，製造業においては顧客ニーズの多様化，製品の短納期化が進むにつれ，いかに効率良い生産を行っていくかが重要な課題となっている。 そのため生産スケジューリング技術への期待は急速に高まり，各企業で積極的に取り組まれていることが，数多くの適用事例よりうかがい取れる。 本論文では，アルミ板製造への生産スケジューリング技術適用の一例として，熱間圧延工程における加熱炉へのスラブ装入本数最大化問題を取り上げる。 加熱炉へのスラブ装入本数最大化とは，できるだけ多くのスラブを加熱炉に装入するための最適配置を決定することであり，板取り問題や方形パッキング問題とよく似た配置問題である。 しかし圧延順序や搬送クレーン用の隙間を考慮する必要がある点と，スラブを取り出すタイミングとなる圧延順序により制約条件が動的に変化する点を考慮する必要があるため，前述の配置問題と大きく異なる。 また本問題に対する一つのアプローチとしてヒューリスティックによる方法が報告されているが，数例のモデルケースにおいて極めて短い時間での求解が可能となるものの，スラブの配置をある程度限定することが前提であるため，汎用面での課題が残る。 このような複雑な配置問題への有力な手法として，制約論理プログラミング（Constraint Logic Programming：CLP）が考えられる。 CLPとは，人工知能の分野で成立#12539;発展してきた歴史があり，最近では組合せ最適化問題等で注目されている手法である。 CLPの基本的なアルゴリズムは制約伝播と分枝限定法で構成されており，効率よく広域的な解探索を行う特徴を持つ。また問題の定式化能力にも定評があり，本論文で取り扱うような複雑な制約条件も容易に定式化することができると考えられる。