マリントキシンによる食中毒の最新傾向(平成25年11月第106回日本食品衛生学会学術講演会公開シンポジゥム一魚介類食中毒の最前線一）

摘要

本来は無毒な魚介類が食物連鎖を介して毒を蓄積する事 例は多い.食の安全と資源の有効利用を両立させるには. 有毒個体を迅速、正確に検出する必要がある，従来は抽出物のマウス腹腔内注射（i.p.)による致死毒性が判定に用 いられた.しかし，マウス法は迅速性、精度、感度、特異 性に欠け，動物愛護の観点も加わって不適とされた.すで にEUでは有毒プランクトンに起因する麻痺性貝毒，下痢 性貝毒，ァザスピロ酸等の二枚貝毒について.対EU輸出 囯であるカナダやニュージーランドを加えた国際協力を構 築して標準品の作成とLC-MSの開発を行ってきた脂 溶性二枚貝毒についてはすでに実用性の検証も終え. 2014年末をもってマウス試験法の廃止を決定した.この 決定は加盟国のみならず対EU輸出国にも適用される.貝 毒での成功が契機となつて世界の潮流は一気にLC-MSな どの機器分析に向かうと予想された.しかし，貝毒以外の マリントキシン，特に魚類に出現する成分については，困 難も多い.本稿では，わが国で発生する貝毒以外のマリン トキシンについて.問題点を取り上げる.定量法としてはLC-MSに加えて，ELISA,受容体結合試験（Recepter binding assav; RBA)の可能性についても言及したい.