顔面神経麻痺に対して咬筋神経 顔面神経および舌下神経 顔面神経交叉神経縫合術に筋膜移植を併用した一例

摘要

一般的に加齢による神経再生能力の低下は広く認められて おり、高齢者における神経再建術の成績不良例も多々報告さ れている。今回、高齢者の顔面神経麻痺に対して、咬筋神経 舌下神経交叉神経縫合術に筋膜移植による吊り上げを併用し た症例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。顔面神経側頭枝と頰骨枝は晈筋神経から、頰筋枝と下顎縁枝は舌下神経からinnervateされるように神経再建を行った のち、同一術野より上口唇、口角と頰部との間に皮下トンネ ルを作製して、幅1.5cmの大腿筋膜2本による上口唇? 口角 の吊り上げを行う。固定部位は、内側部は上口唇筋層と modiolusで、それぞれフランクフルト平面に対して60deg、 45degの角度にて頰骨骨膜、耳前筋膜に2-0非吸収糸を用いてやや過嬌正気味に固定する。