分母分離形2次元ディジタルフィルタの誤差スペクトル整形

摘要

ディジタルフィルタを固定小数点の有限語長表現で実現した場合，量子化の丸めに起因した様々な特性劣化の生じることが知られている．その一つに積和演算結果の丸めによって発生するフィルタの出力雑音がある，これを低減するための一つの方法に誤差スペクトル整形があり，通常は丸め誤差のフィードバックが利用されている．一方，これにフィードフォワードを利用する例は比較的少ないと言える．本論文では，分母分離形2次元ディジタルフィルタにおける誤差スペクトル整形に，丸め誤差のフィードバックとフィードフォワードの両方を利用した出力雑音の低減化法を提案している．ここでは，分母分離形2次元ディジタルフィルタは最小の遅延素子数で実現されており，二つの量子化器が使用されている．また，フィルタの実現コストを削減するために，遺伝的アルゴリズムを用いてフィードバック係数とフィードフォワード係数を離散最適化により求める方法についても論じている．最後に，数値例を通して提案手法の有効性を検証している．