ブロツチによって劣化した動画像信号に対する一復元手法

摘要

1950年代以前の映像フイルムに見られる白または黒のしみ（ブロッチ）によって劣化した映像をディジタル化して復元を行うことが注目を集めている．従来の復元手法は二つの過程より構成されていて，第1過程は動き推定であり，ブロックマッチング（BM）を用いて行われる．第2過程は動き推定に基づき処理フレームと前後のフレームの位置合せを行い，時間方向へのフィルタ処理を施す過程である．第2過程のフィルタ処理にはブロッチ検出を伴う．第1過程のBMには平均値BM並べ換えBMが用いられ，第2過程のブロッチ検出にはSpike Detection Index-a（SDIa）などが用いられてきた．しかしながら従来のBMではブロッチが存在する画像上で動きを推定するためブロック内にブロッテが存在する場合での動き推定精度には限界がある．更に，第2過程のフィルタ処理精度は動き推定の精度にん右され，また，SDIaによるブロッチ検出は単純な方法であるもののブロッチ検出精度には問題がある．そこで本論文ではそれら問題点を解決するために，第1段階として繰返し条件付きメジアンフィルタを利用してブロッチ位置画像を作成し，それに伴いそのフィルタ処理によってブロッナが除去された仮想原画像を得る．動き推定は仮想原画像を用いて行うことでその精度向上を，フィルタ処理にはブロッチ位置画像を用いることでその処理精度の向上をそれぞれ図ることにより高画質の復元動画像を得る新しい手法を提案する．更に，提案手法の有効性を豊富な例題を用いて明らかにする．