遅延処理と2次元ディジタルフィルタによる広帯域マルチビーム形成法

摘要

あらまし　 本論文では，遅延処理と2次元フアンフィルタを用いて広帯域信号のマルチビーム形成を行う方法を提案している．2次元フアンフィルタは軸対称特性のものを一つだけ用い，ビーム方向ごとの2次元信号に対する遅延処理の多重化によりマルチビーム形成を行っている．ここでの遅延処理は，2次元周波数城では．2次元スペクトルの回転の操作に対応しており，センサ位置に比例した遅延を各センサ出力に与えるものであるが，各遅延は分数遅延であることから，実現のために高速サンプリングと間引きを用いたディジタル信号処理の方法を採用している．マルチビームの設計法を与え，受信角度範囲を広げるための検討も行っている．そして，遅延処理によるマルチビーム形成の方法がビーム方向によってビーム幅がわずかに異なるが，適度な受信角度範囲で使用する場合には良好なマルチビームの形成が行われることを示している．最後に，複数の2次元フアンフィルタによるマルチビーム形成の方法との違いを論じ，本方法の位置付けと有効性を明確に．している．