鋼製橋脚隅角部の延性き裂発生限界評価への適用：大変形繰返し荷重下での溶接鋼構造部材の延性き裂発生限界評価（第2報）

摘要

一般に，鋼製橋脚などの溶接鋼構造物では，その接合部において応力#12539;歪集中部の存在は避けがたく，地震荷重のような繰返し大変形荷重下において破壊の起点となることが懸念される。先の兵庫県南部地震においては，幾つかの鋼製橋脚でこのような応力#12539;歪集中部から脆性的な破壊が発生した。 これは，繰返し大変形による歪の蓄積が材料の延性と破壊靭性の両特性を低下させ，脆性破壊に先だって延性き裂が発生#12539;進展したことが一つの要因であった。 このような，大きな繰返し地震荷重下において鋼構造物の脆性破壊を防止することの重要性は言うまでもなく，そのためにも脆性破壊に先立つ延性き裂の発生を確実に把握#12539;評価することも重要である。さらに，延性き裂の発生を防止するための材料，構造の両面からの合理的な設計技術を体系化することが望まれるところである。