将来のモビリティと自動車文化：個人リース市場の現状と展望－新しい自動車保有形態

摘要

乗用車の世帯保有率は8割に届きそうな水準にまで達しており，自動車が生活必需品となって久しい．そのような中，自動車使用者（以降ユーザ）における自動車に対する価値観は単なる移動手段としてだけでなく，趣味趣向，自己表現，ステータスなど多様化している．しかしその価値観は，結婚，子育てなどライフスタイルの変化に伴い変化する傾向にあり，自動車の買い替えを決定する大きな要因の一つとなっている．当然，自動車を保有·維持していくには出費が伴うため，自身の価値観と経済環境を照らし合わせることによって購入車種の選択や使用期間の長短など自動車の購入·使用状況は変化する．現在，自動車に対する価値観の変化を見据え，潜在的なユーザニーズを捉えようとした商品の市場が新たな動きを見せている．その代表格となるのが“個人リース市場”である．その大きな特徴として“使用する自動車が自己所有物ではない”ということが挙げられるが，自動車の保有意識が強いといわれる日本で個人リース市場は今後どのような展開を見せるのであろうか．