変形した中性子過剰核の励起状態における対相関の効果

摘要

今回，我々は連続状態も含めた対相関を適切に扱える座標表示HFB法によって基底状態を求め，その上でQRPA方程式をA, B行列の方法を用い解くことで，変形した中性子過剰核の励起状態を計算することに初めて成功した．この方法を中性子過剰なMg同位体の低励起振動モードに適用したところ，ガンマ振動モードが得られた．これら低励起振動モードの形成には，対相関が重要な役割を果たしており，特に二準粒子が連続エネルギー状態に励起する成分が大きいことが分かった．これは，ドリップ線近傍の原子核における励起状態の特徴的な形成メカニズムである．また，変形Woods-SaxonポテンシャルにおけるBCS近似に基づいたQRPA計算によっても~(38)Mgにおいてガンマ振動が現れることが示唆されており，この結果はこれと矛盾しない．