交流細胞外電場に対するニューロンの受動的膜電位応答の形態依存性

摘要

ラット海馬CA1錐体細胞において、直流細胞外電場に対する膜電位応答を実験的に観察したところ、基底樹状突起－細胞体部位では遅い時間経過をもつ単相性の応答が、尖端樹状突起部位においては速い成分と遅い成分をもつ二相性の応答が生じる。また同様に、交流細胞外電場に対する膜電位応答では尖端樹状突起部位において周波数依存的な応答を呈する事が膜電位イメージング法によって観察されている。これまで、これらの特徴は一端の膜抵抗値が低いリーキー単一サーブルモデルによって再現可能である事が分かっている。また、曲がりや分枝といった神経細胞の形態的特徴によっても実験的特徴が再現可能であるという仮説の下、形態的特徴をもったケーブルモデルを用いて、直流細胞外電場に対する膜電位応答を数値的にシミュレートし、適切な形態によっては部分的に実験的特徴を再現可能である事が分かっている。そこで次に、形態的特徴をもったケーブルモデルを用いて、交流細胞外電場に対する膜電位応答を検証したところ、周波数依存的な特性を呈する事が分かった。