LC／MS／MSによる麦茶およびビール中のトリコテセシ系カビ毒の分析

摘要

トリコテセン系カビ毒はFusarium属のカビが産生するカビ壷で，麦類やトウモロコシなどでの汚染がよく知られており，ヒトでの中毒例も少なくない．そのため農産物やその加工食品のカビ毒汚染の実態把握が世界各国で精力的に行われた結果，ヒトや家畜がトリコテセン系カビ毒に日常的に暴露されていることが明らかになってきた．このような状況を踏まえ，2001年にFAO／WHO合同食品添加物委員会（JECFA）はトリコテセン系カビ毒のリスク評価を実施し，それを受けFAO／WHO合同食品規格委員会（Codex委員会）および欧州委員会に属する食品科学委員会（European Commission－Scientific Com－mittee on Food：EC－SFC）にて一部のトリコテセン系カビ毒の暫定一日耐用摂取量（TDI）が設定された．このような国際的な流れの中，我が国においても2002年5月に小麦にかかわるデオヰシニバレノール（DON）の暫定基準値が1．1ppmと設定された．