硫黄化合物を含む食品中の亜硫酸分析における比色法の問題点とその改良

摘要

現在，二酸化硫黄および亜硫酸塩類は食品の漂白，保存，酸化防止などを目的とし，食品添加物として種々の食品に使用されている．しかし，喘息発作を引き起こす作用が判明し，米国ではサラダに使用された亜硫酸によるアレルギーでの死亡例が報告されている．わが国でも食品衛生法で亜硫酸の残存量としての使用基準が定められている．著者らは食品中の亜硫酸およびその塩類の分析に，ヨウ素酸カリウム，デンプン紙を用いた定性法（以下定性法）および定量法として通気蒸留－アルカリ滴定法（以下滴定法）と通気蒸留一比色法（以下比色法）を用いている．このうち，現在わが国では食品衛生検査指針などに記載のある滴定法と比色法が最も広く用いられている．比色法は滴定法に比べ，試料中の揮発性の酸などの妨害物質の影響を受けにくく検出限界が低いなどの特長があり信頼性　 の高い方法とされ，比色法のみの結果で亜硫酸の定量値を求めて検査結果とする検査機関も多いと思われる．